2022.02.11

知っておきたい中学受験のこと vol.1 今、中学受験をする子どもが増えている?

Column

コロナ禍での入試初年度となった昨年の2021年首都圏の私立・国公立中学入学者向け入試。首都圏模試センターの推計では、受験者数は約5万50人と、昨年より約650人増え、7年連続で増加しました。2022年もこの勢いは続き、受験率は上昇することが予想されています。コロナ禍によって家計状況が悪化した家庭も多いなか、「どうして?」と思われる人もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、今、なぜ中学受験をするお子さんが増えているのかを、中学受験に悩むママたちに向けたサポートを行う、中学受験アドバイザーの西 和美さんにお聞きしました。実際に中学受験を経験した、先輩ママたちの声もあわせてご紹介します。

そもそも、なぜ中学受験をするの?

近年の中学受験者の増加について、保護者には大きく分けて3つ動機が関係していると西さんは言います。先輩ママたちの声もチェックしていきましょう。

1.独自のカリキュラムへの期待
「ひとつめに、今後、大学入試選抜方法の多様化が予測される中で、親としての不安が顕著に現れていると思います。どのように変化しても、私立独自のカリキュラムで即対応してくれるという期待が多いように感じています」

2.大学受験向けのカリキュラムが魅力
「首都圏の私立中高一貫の進学校では高3の1学期には高校の学習要領を終えて、夏休みからは、受験勉強に集中できるというカリキュラムが組まれている学校が多いと思います。共通テスト対策、本試験対策を考えると、受験勉強の時間が取れるというのは、大きな魅力です。実際に、わが家の息子たちが通っていた本郷高等学校・早稲田高等学校もこのカリキュラムでした」

3.将来の選択肢を増やすため
「学歴社会は終わったという見方もあるなかで、『勉強して知識を増やす→有名大学に入る→職業の選択肢が増える』という事実は今も変わらず残っています。不況だからこそ、時代の波に流されずに、親としては子どもにできるだけ選択肢の多い人生を送って欲しい気持ちがあるのではないかと思います」

西さんいわく、ほかにも「大学受験で難関国立、難関私立大学合格を目指すため」「価値観の合う友人たちとの出会いを求めて」「環境、設備の充実」「6年間通しての部活動など、やりたいことがあるため」「同じ小学校の半分以上が中学受験する環境」など、中学受験を希望する動機はさまざまあると言います。

「少数派ですが、共学より男子校や女子校の方が異性の目を気にせず伸び伸びと過ごせ、勉強に集中できるために中学受験を選んだというご家庭や、通っていた公立小学校でいじめを受けていて、その環境から抜けるために受験されたというご家庭もありました。まずは中学受験する意味や目的を親子でしっかりと話し合い、そのうえで受験するかどうかを決めていくことをおすすめします」

<先輩ママの声>

「仲良しのお友達が受験するので、自分も受験したいというようになりました。お友だちと学校見学に行くうちに、気分も高まっていったようです」(S.Tさん/中3の女の子のママ)

「私も夫も地方都市出身。東京の受験事情がまったくわからず、最初は、とりあえず中学受験をしておこうというような動機だったと思います。息子も塾通いが楽しくなり、自然な流れで受験しました」(Y.Gさん/中3の男の子のママ)

「幼稚園の頃からラグビースクールに入っていた息子が“中学はラグビーができるところに行きたい”と言うようになり、受験を決めました。目下勉強中です」(A.Kさん/小5の男の子のママ)

中学受験者の増加とコロナ禍の関係

コロナ不況といえども、首都圏の私立・国公立中学受験者数は増加していることについて、どんな理由が考えられるのでしょうか。
「コロナ禍での一斉休校中に、私立ではいち早くタブレットの貸し出しや問題集の配送、オンライン授業、オンラインホームルームを取り入れ、保護者や生徒の学習の遅れの不安、コミュニケーション不足を払拭したと聞いています。
一方公立では、ときどき担任教師からの連絡がある、数枚のプリントが配られるだけだったという学校があったようです。コロナ禍における学校生活の不安を素早く取り除くことを私立校に期待された方は多いように思います。学力の差はやり始めればすぐに埋められるという専門家もいますが、本来ゆっくり学習できたものを急ピッチで取り組まなければならないのは、子どもにとって大きな負担になります。
今後、またどのような感染症が流行するかわからないなかで、そんな負担を子どもに与えたくないという気持ちも、中学受験で私立、国公立に……と流れる原因になったのではないでしょうか」

<先輩ママの声>

「2021年の一斉休校のとき、長男の通う公立中学では大量の宿題プリントやドリルが配られただけ。ところがお友だちのお姉ちゃんが通う私立中学は、早々にオンライン化。今後の対応についても、オンライン保護者会によって細かく説明があったそうです。オンライン授業格差を肌で実感したため、小5の次男は私立中学受験を決めました」(A.Kさん/小5の男の子のママ)

高校受験の難しさも中学受験者増加に影響?

高校受験合格には内申点が欠かせません。内申点が記載された「内申書」は、公立高校の一般入試・推薦入試だけでなく、私立高校入試においても、選考資料として用いる学校が多くあります。
「内申書には、各教科の成績のほかに学校・生徒会での委員会経験や部活動・学校内外での活動実績、学校行事の活動状況といった内容が記載されます。
また、内申点のつけ方については、保護者が中学生だった昔と今では評価方法が大きく変わり、定期テストの点数がよければよいというわけではなく、提出物や小テスト、授業態度など日々のがんばりについても評価されます。それならば、受験の点数だけで公平に判断してもらえる私立中学へと思う方も多いでしょう」

内申書の評価は5教科だけではありません。
「中学受験でも国公立中学を受験する場合は内申点の割合が大きく、音楽、美術、体育もできる、オールマイティのいわゆる優等生タイプがかなり有利とされています。それは公立高校入試でも同じです。5教科の学力は抜群にいいけれど、その他の内申点が低い場合には不利になります。
また、中学受験の入試科目は国語・算数・理科・社会の4科目が主流です。高校入試はこれに英語が加わりますから、勉強の負担が少しでも軽減されるという理由から、中学受験を選ぶ方もいるでしょうね」

都立高校の上位校は狭き門

東京では「クラスの8割以上が中学受験」ということもめずらしくない地域が多くあります。
「私立高校の完全中高一貫校化が進み、高校募集を停止しているところも多くなりました。学力がある生徒が高校受験する場合は、都立高校の上位校を目指さなければ受験したい高校が少ないということもあるようです。都立高校の上位校は難関私立、国公立大学の合格率も高く人気があり、狭き門となっています。
ところが、都立上位校の難関大学合格実績と都立中堅校の大学実績には差があるようにみられます。都立上位校の狭き門を目指すより、私立中学は超難関校ではなくても、難関校や、その少し下であっても十分な大学合格実績があるため、中学受験で入学しておこうという気持ちも働いているのではないかと思います」



中学受験する動機には、お子さんが将来進む道を考えてのことだけでなく、高校入試の複雑化やコロナ禍における不安など、さまざまあることがわかりました。
次回は、中学受験をする場合、スタート時期や必要な準備についてお届けします。


教えてくれた人

西和美さん/中学受験アドバイザー
双子の母。長男次男とも中学受験をし、別々の私立中高一貫校へ進学。その後、大学受験で国立大学へ(東京大学 / 東京医科歯科大学)。受験は親子関係が大切であり、ママの負担も大きい。自身の経験から中学受験のサポートに悩むママたちの心に寄り添ったサービスを提供している。
サポート詳細や受験期ママへのヒントはブログにて

知っておきたい中学受験のこと