2022.06.06

「のりもの大好きな子供のための絵本」

Column

 5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。

 「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」

 これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張の糸がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。

いっぱい並んでいるのりもの絵本の中から、どれを選ぶ?

 小さい頃、弟が乗り物好きだったため、我が家は乗り物系の絵本やおもちゃがあふれていました。私も、弟と一緒に電車を眺めたり、ひたすらおもちゃの車で遊んだりしていたため、本屋でのりもの絵本をついつい手に取り、読み始めると一瞬であの頃の自分に戻り、懐かしい気持ちがよみがえります。

 でも、本屋に行くと数えきれないほど多くののりもの絵本が並び、ついつい迷ってしまいます。それでも、やっぱり好きな絵本に手が伸びてしまいます。

 何度も読んでいるのは、のりもの絵本の代表作ともいえる『がたん ごとん がたん ごとん』です。赤ちゃんも楽しめるため、ファーストブックとしてもおなじみです。安西水丸さんの可愛らしいイラストと、繰り返されるリズムのよい言葉が何度でも読み返したくなる絵本です。駅にやってきた汽車に、哺乳瓶、コップとスプーン、りんごにバナナにねこなどが乗り込みます。赤ちゃんにとって身近なものたちが絵本に登場すると、赤ちゃんも嬉しくなって何度も何度も楽しめます。

『がたん ごとん がたん ごとん』安西水丸 福音館書店

 そして、『いろいろバス』は成長過程に合わせて楽しみ方が変わり、またデザイン性の高さはもちろんユニークな絵本です。あかいバス、きいろいバス、みどりのバスなど、いろんな色のバスが次々とやってきて、いろんな乗客が降りたり乗ったりします。色ごとにページがまとまっていますので色遊びとしても楽しめますし、食べ物や動物など知っているものが登場するため、一層面白さが広がると思います。バスが好きな子にはたまらない一冊です。

『いろいろバス』tupera tupera 大日本図書

 『のりものいっぱい』のイラストを見て、お酒を飲まれる方はなんか見たことあるようなと感じる方もいらっしゃるかもしれません。CMや店頭でよく見みかける「アンクルトリス」に雰囲気が似ていませんか?実は、その生みの親でもある柳原良平さんの絵本です。のりものたちに顔が描かれていて可愛いですよね。パトカーやしょうぼうしゃ、しんかんせんからきゃくせん、ひこうきまで、1ページにひとつの乗り物がダイナミックに描かれています。シンプルで可愛らしくて、赤ちゃんから大人まで見て楽しめる絵本です。

『のりものいっぱい』柳原良平 こぐま社

絵本とつながるおとなのための2冊

 伊坂幸太郎というとちょっと読むのに勇気がいる、難しそうというイメージの方もいるかもしれません。でも、車と新幹線という乗り物を舞台にしたちょっとユニークなミステリーは、スリル満点で伊坂幸太郎を読んだことのない方でも楽しめます。車移動の多い方や車好きな方は『ガソリン生活』が、電車移動が多い方やよく新幹線に乗る方は『マリアビートル』が親しみやすいかもしれません。長編ですが、先が気になってついつい夜更かししてしまいそうになります。理不尽な目に遭った時、なんかイライラモヤモヤした時に、ぜひ読後の爽快感を味わってみてください。

 『ガソリン生活』は、なんと車たちがおしゃべりするという不思議な世界観。母、長男、長女、次男、そしてこの家族の愛車緑デミオ。有名人のトンネル事故という大事件に巻き込まれる長男、彼氏が危険な目に遭いそうで心配な長女、クラスでいじめに遭う子供らしさのない次男という問題山積の家族の物語。どんなときもお互いを思いやり、困ったときには助け合う家族の様子が、愛車緑デミオ目線で語られます。エピローグでは、家族の微笑ましい様子が綴られておりますので、ぜひ最後までお楽しみください。読後、もしかしたら愛車がより一層愛おしく感じるかも?

『ガソリン生活』伊坂幸太郎 朝日文庫

 『マリアビートル』は、東北新幹線の中で殺し屋たちが殺し合うという物語。殺し屋たちの中には、きかんしゃトーマス大好きな殺し屋や気弱で運が悪い殺し屋など、ちょっとほっこりするキャラクターも登場します。殺し屋と聞くとちょっと残虐そうなイメージですが、ユーモアたっぷりで思わず笑ってしまったり、名言が飛び出したり、哲学的で、胸に刻まれる言葉と出合える一冊です。

『マリアビートル』伊坂幸太郎 角川文庫

親子で楽しむのりもの本

 よく駅のホームで、ベビーカーに乗った子供が電車の発着を見ている様子に遭遇します。近所の保育園の前を通ると、園児たちが通りすぎる車を見て「くるま!」「タクシー!」と全力で叫びます。今も昔も、乗り物が好きな子供は、飽きずにのりもの絵本を眺めたり、電車を眺めたりしているように感じます。そんな乗り物好きな子供にとって、眠りにつく瞬間まで絵本で好きなものに触れることができることは至福のときなのかもしれません。ぜひ、お子さまと一緒に乗り物ワールドをお楽しみいただけたらうれしいです。

 それでは、今夜もすてきな絵本時間をお過ごしください。

「5冊だけの本屋」ミホコの今日もハッピーエンド。

5冊だけの本屋 ミホコ

2015年に女性のための選書サービス「5冊だけの本屋」をスタート。お客様のSNSを拝見して、今のお客様にぴったりな5冊を選書している。本好きな女性にも、普段本を読まない女性にも、読書を楽しんでもらうために活動中。