2022.07.04

「親子で一緒に楽しむきょうだい絵本」

Column

 5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。

 「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」

 これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張の糸がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。

きょうだい絵本を親子で一緒に楽しもう。

 お子さまがお兄ちゃん、お姉ちゃんになるタイミングに、きょうだいの絵本を親子で楽しみたいという方もいらっしゃると思います。私にも3つ下の弟がいますので、姉弟の物語を読むとやっぱり姉弟っていいなぁと痛感します。姉弟あるあるに思わず笑ってしまったり、自分では思いもしなかった弟の気持ちに気づかされたりして、共感が止まりません。


 好きなきょうだい絵本といえば、くまのがっこうシリーズの『ジャッキーのいもうと』です。普段は甘えん坊の末っ子ジャッキー。でも、ちいさな双子のおんなのこルルとロロが迷い込んできたことによって、お姉ちゃんとして奮闘する姿を描いています。ジャッキーのお姉さんぶりにも驚かされますが、きっと姉になるとわかった途端に甘えん坊キャラを返上し、急に大人びてくるのはジャッキーだけではないはず。ぜひ、姉妹で楽しみたい一冊です。

『ジャッキーのいもうと』絵 あだちなみ 文 あいはらひろゆき ブロンズ新社


 人気絵本作家・島田ゆかさんの『ぶーちゃんとおにいちゃん』は、お兄ちゃんが大好きなぶーちゃんの物語。お兄ちゃんは、真似ばかりするぶーちゃんにしつこいとうんざり気味。それでも、お兄ちゃんについていく健気なぶーちゃんが可愛らしく描かれています。兄弟あるあるのエピソード満載で、イラストも内容もおちゃめでかわいらしいです。思わず笑ってしまうその面白さは、お子さまだけでなく大人も楽しめます。

『ぶーちゃんとおにいちゃん』島田ゆか 白泉社


 『いもうとガイドブック』は、その名の通り妹の取説を描いた絵本です。妹が赤ちゃんでやってきたところから、妹の成長と共にその接し方が描かれています。歩きはじめるとどこにでもついてくること、妹はみんなからちやほやされること、お姉ちゃんは分けっこが得意だけれど自分の方が多いなど、他にもおしゃれやお化粧など思わず笑ってしまう姉妹あるあるがユーモアたっぷりに描かれています。お子さまと読みたいきょうだい絵本としてこれほどまでに最適な本はなかなかないかもしれません。

『いもうとガイドブック』ポーラ・メトカーフ 文 スザンヌ・バートン 絵 福本友美子 訳 少年写真新聞社

絵本とつながるおとなのための2冊

 きょうだい絵本だけでなく、兄弟姉妹の絆を描いた物語も数多くあります。その中から、長女あるあるに共感が止まらない『ただいま神様当番』。父親が亡くなりより一層絆が強まる6人兄弟姉妹の物語『星やどりの声』は、いつまでも兄弟姉妹っていいなぁと思える心温まる小説です。


 大人気!『ただいま神様当番』の第二話に、3つ下の最低最悪な弟をかわいいと思えない小学生の千帆ちゃんの物語があります。もっと最高の弟が欲しいと思いつつも、自分以外の人が弟をばかにするとムッとしてしまう。そんな千帆ちゃんが、弟の一途な姉への思いやりに心打たれ、大事な弟だと気づきます。お姉ちゃんであることの責任感から、お母さんに甘えることができない千帆ちゃんが、「お姉ちゃん」ではなく「千帆」って呼んでとお母さんに恥ずかしそうに甘える姿にも心温まります。

『ただいま神様当番』青山美智子 宝島社文庫


 『星やどりの声』は、大好きだった父を亡くした三男三女の物語。しっかり者の長女、優柔不断で頼りない大学生の長男。高三で双子の次女と三女は、うるさくて派手な次女と対照的にいつでも落ち着いている三女。高一でやさしい次男と大人びた小学生の三男。それぞれのリレー形式で語られる兄弟姉妹の思いと絆に涙が止まらなくなります。ご自身の境遇に重ねても、お子さまの姿を重ねても共感できる一冊です。

『星やどりの声』朝井 リョウ KADOKAWA/角川文庫

眠る前に、きょうだいに思いを馳せて。

 ご自身に兄弟姉妹がいらっしゃる方は、きょうだい本を読むと、その懐かしさからじんわりと胸が熱くなり、温かい気持ちになるかもしれません。普段は、忙しくてなかなか連絡を取ったりできていないなぁという方も、明日は久しぶりに連絡してみようかなと思うかもしれません。また、これからお子さまに兄弟姉妹が増える方は、お子さまたちの未来を想像するだけで、楽しみで幸福な気持ちに満たされるかもしれません。眠りにつく前にきょうだいのことを想いながら、どうぞ素敵な夜を。

 それでは、今夜もすてきな絵本時間をお過ごしください。

「5冊だけの本屋」ミホコの今日もハッピーエンド。

5冊だけの本屋 ミホコ

2015年に女性のための選書サービス「5冊だけの本屋」をスタート。お客様のSNSを拝見して、今のお客様にぴったりな5冊を選書している。本好きな女性にも、普段本を読まない女性にも、読書を楽しんでもらうために活動中。